コーヒーはB型肝炎の発症を押さえる働きがある
コーヒーの抽出液には、SOD(老化の元凶といわれる活性酸素の害から体を守る成分の一種)と、同様の作用があることを確認しました。作用の強さはコーヒー豆の種類にはそれほど影響はありませんが、焙煎(火熱で炒ること)の程度によって差があることが解りました。
生豆のエキスが一番強く、焙煎が深いほど下がります。コーヒーの主な成分での一つであるカフェー酸やクロロゲン酸に強いSOD作用が認められ、エキス中のクロロゲン酸の濃度に比例してSOD作用は強くなります。活性酸素と同様に、老化や種々の病気に関与してる物に過酸化脂質があります。たとえば、老人色素と呼ばれ、シミの原因となるリボフシンやセロイドは、過酸化脂質がタンパク質を巻き込んで形成されます。コーヒーの抽出液に過酸化脂質が出来るのを制御する作用があるか調べてみたら、豆の焙煎に関係なく、その作用があることが解りました。この作用も、カフェー酸とクロロゲン酸が関係しています。
またコーヒーが感染症(細菌などの感染で起こる病気)に、どのような影響を与えるかを検討しました。その一例としてB型肝炎を取り上げました。B型肝炎ウィルスは、急性肝炎を引き起こすだけでなく、慢性肝炎や肝硬変(肝臓自体が堅くなる病気)、肝臓ガンにも発展します。
実験では、コーヒーの抽出液にB型肝炎ウィルス抗原産生抑制作用、つまりB型肝炎の発症を押さえる働きが認められました。この作用は、焙煎度やクロロゲン酸の濃度と相関性がなく、これら以外に要因が有るものと思われます。
富山医科薬科大学 難波恒雄名誉教授
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